2009年12月24日
こんにちは。
今週は有馬記念の話題をお届けしています。
さて、きのうは牝馬で初めてグランプリを制した
ガーネツトのお話しをしました。
翌1960年、紅一点3歳牝馬スターロッチが挑戦します。
彼女は150万円で購買された抽選馬で
オークスを9人気で勝ったとはいえフロック視され、
この日も9人気の低評価に甘んじていました。
1人気は前走・天皇賞を勝ったオーテモンが押されます。
オーテモンの母カネユキは菊花賞、
天皇賞などに16勝したハクリョウが全弟、
全姉シラハタは第1回有馬記念を勝った
名馬メイヂヒカリを輩出しています。
“幻の馬”トキノミノルの馬主・永田雅一さんが
オーナーとなったことも手伝って
大きな期待を集めたのは当然でしょう。
オーナーの永田さんは大映社長を務め
映画に情熱を注ぎつづけた
稀代のプロデューサーとして有名です。
大映スターズ(のち大毎、現在のロッテ)など
プロ野球の発展にもずいぶんと力を尽くしてくれましたが、
本業の映画の海外進出を図るためには、
アメリカでは球団オーナーが高い尊敬を集めていると聞き、
すぐに球団を持ったと伝えられています。
競走馬オーナーになったのも
そうした背景が少なからずからんでいたのかもしれません。
アメリカで敬愛されるプロ野球オーナー、
ヨーロッパで尊敬されるサラブレッドオーナーは、
永田さんには道楽の域を超えたものだったのでしょうか。
晩成の良血が開花した名門一族と抽選馬の戦い、
しかもスターロッチは3歳牝馬です。
ところがオーテモンをはじめとする有力馬が
後方でけん制しあっているうちに
彼女はゴールに飛び込んでしまいます。
これが史上唯一の牝馬によるグランプリでした。
しかし彼女が一介の抽選馬でなかったことは、
のちの繁殖牝馬としての輝かしい実績が物語っています。
彼女の一族からは皐月賞馬ハードバージ、
サクラシンゲキ、サクラスマイル、サクラユタカオー3兄弟などを出して
現在まで連綿と受け継がれています。
またスターロッチの孫の孫にあたるサクラスターオーは
母サクラスマイルが産後間もなく死亡したため、
スターロッチ自身が乳母として、
のちに皐月賞と菊花賞を勝った
サクラスターオーの母親役を果たしました。
偉い馬ですね。
きょうも来てくださってありがとうございます。
スターロッチ以来49年、ことしはブエナビスタが
史上2頭目の3歳牝馬グランプリにチャレンジします。
あすはこの話題を中心にお届けしたいと思います。
2009年海外競馬の総括編をお届けしている
『海の向こうの競馬、そしてホースマン6』は
シーザスターズの種牡馬としての可能性を
合田さんが語ってくれています。
こちらもどうぞよろしくお願いします。