2010年09月02日
こんにちは。
オーストラリア、イギリス、日本、香港の4カ国を転戦する
グローバルスプリントチャンレンジ (GSC) は4カ国すべてで出走、
3カ国でG1を3勝以上しないとボーナス賞金の対象になりません。
砂漠を横断するサファリラリーのように苛酷なキャンペーンです。
不可能と思えるハードルをクリアする馬なんているのでしょうか。
この国際キャンペーンは2005年からはじまっていますが、
さっそくこのシリーズに目標を定めたサラブレッドがいました。
キープオブグッドホープ、喜望峰という名の香港調教馬です。
彼はオーストラリアSでまず1勝、
イギリスに遠征してゴールデンジュビリーSを制して
GSCの初代チャンピオンの座を確定します。
中山のスプリンターズSに勝てばボーナスゲットです。
しかし同じ香港の英雄サイレントウィットネスの7着に敗れ
惜しくも100万ドルと偉大な栄光を逃します。
サイレントウィットネスはデビュー17連勝と
ことしゼニヤッタの18連勝に抜かれるまで
グレード制導入後の世界記録の持ち主でした。
“香港のオグリキャップ” みたいな国民的アイドルホースです。
翌06年、オーストラリアからとんでもない怪物が現われました。
1999年生まれのその馬は成育が悪いまま
3歳の暮れを迎えるまで買い手がつきませんでした。
10万円 (10万ドルではありません) の安値でやっと競走馬に。
デビューは4歳、でも破竹の7連勝でG1クラスに上り詰めます。
さすがにG1の壁は厳しく連戦連敗という状態が続きますが、
しかしGSC第1戦のライトニングSを制して軌道に乗り、
ロイヤルアスコットのキングズスタンドS (当時はG2) を連勝、
中3日のゴールデンジュビリーSは3着に惜敗しますが、
日本に渡ってセントウルS (G2) を2着した後、10万円の馬は
ふたつ目のG1をめざしてスプリンターズSに出走してきます。
メイショウボーラー以下を寄せ付けずに楽々と逃げ切った彼は、
100万ドルがかかった最終戦の香港スプリントに乗り込みます。
テイクオーバーは “乗っ取り” なんて意味でも使われますが、
馬名を直訳すれば “標的奪取!” でしょうか。
まさにGSCチャンピオンとなるべく名づけられたみたいです。
ところが彼は薬物違反で出走取消の憂き目にあいます。
その後は100万ドルホースどころかチャンピオンすら該当馬なし、
そんな状態が続いています。考えるだけで厳しいハードルです。
それにしても海外のスプリンターはタフですね。
シリーズのキングズスタンドSとゴールデンジュビリーSは
ちょっとお話したように中3日で行われます。
きょうご紹介したテイクオーバーターゲットは生涯41戦21勝、
ケープオブグッドホープは41戦7勝と実に丈夫に走ります。
きょうも来てくださってありがとうございます。
スプリンターに限らず海外の馬はタフに走る印象があります。
なぜそうなのか、一度じっくり考えてみたい宿題です。