馬名ミュージアム カタカナで9文字以内アルファベットで18文字以内と定められている競走馬たちの名前。この短い言葉のなかにその馬に関わる人々の希望や祈り、そして、いにしえのホースマンが紡いできた物語を感じとることができるのです。

第8回 西部に足を踏み入れなかった"金採掘者"

1848年から始まった米カリフォルニアのゴールドラッシュ。
一攫千金を目指した金の採掘者たちは、
アメリカ本土からだけではなく、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、
そしてアジアやオースラリアからも、
米西部に位置するカリフォルニアへと集ってきたのです。

米の大種牡馬ミスタープロスペクター( “鉱山採掘者” の意味)の産駒には、
このゴールドラッシュに因んだ馬名を持つものが数多くいます。
カリフォルニアへ向かう人々の合言葉となった
“GO WEST-ゴーウエスト-(西へ、行こう!)”、
「金を探せ!」という意味の
“SEEKING THE GOLD-シーキングザゴールド”、
そして、競走馬として、種牡馬として大成功を収めた
“FORTY NINER-フォーティナイナー” も、
その仲間の一頭ということになります。

フォーティナイナーとは、ゴールドラッシュブームに乗って、
1849年にカリフォルニアへやって来た人を指す言葉。
サンフランシスコを本拠地とする
プロフットボールチーム「フォーティナイナーズ」も、
その単語の複数形から生まれたチーム名です。

競走馬時代は、トラヴァーズS、ハスケル招待H、
シャンペンSなどG1を4勝し、
種牡馬としても米日でサイアーランキングトップ10入りを果した
フォーティナイナーは、
まさしく金鉱を掘り当てたサラブレッドとなりました。

ただし、競走馬時代のフォーティナイナーが活躍した舞台は、
本拠地とした米東部の競馬場でした。
カリフォルニア州を含む米西海岸のレースには、
ついに出走しないまま現役生活を終えたのです。

(次回は1月13日の水曜日にお届けします)  構成・文/関口隆哉