Dubai World Cup
第10回
2009年3月28日(レース前)
 
 

今朝の気配も変わりなく、
藤澤調教師の指示通りダートコースをお散歩、
そしてダグを踏みました。

2000mの発走地点では特に念入りに歩き回ります。
葛西助手は
「ここを覚えていてね、
 怖いところじゃないから、
 後で来た時興奮しないでね」
と教えているのでしょう。


 今日のレースに向けて、最後の馬場入り

レース当日ですが、
発走まではまだ半日以上あり、
輸送も厩舎地区から馬運車で10分程なので
ほとんど負担はありません。

長時間ストレスを溜めさせないよう、
馬場に出てリフレッシュするのです。
カジノドライヴは時折気合いを表に出しながら、
もっと走りたそうに身体を動かしました。

天気もレースまでは
どうにか持ちそうな予報に変わっています。


 お隣7番枠の逃げ馬ウェルアームド(右)
 「スタート決めて誘導してね」


ベルモントステークスで
競馬に出してあげることすらできなかった悔しさを
忘れることはありません。

あの朝、山本オーナーは言いました。
「馬主のことは忘れて彼にとって最善の選択をしてください」

そして藤澤調教師は決断しました。
「これで終わりじゃない。
 ここまでの彼の努力を無駄にしないために、
 今日はやめる」

取消発表後、
驚くほどたくさんの現地報道関係者が厩舎を訪れました。
彼らは取材に来たのではありませんでした。
カジノドライヴの挑戦に敬意と感謝を表す為だけに
来てくれたのです。

藤澤調教師は、
来てくれた全員を馬房の前まで招き入れて
カジノドライヴを見せしました。
「これまで彼の為に、
 取材規制に協力してくれてありがとう。
 今日は彼を目に焼き付けてください。
 素晴らしい馬でしょう?
 ここまで本当に頑張ったんです」
と言いながら。

あの朝のことを思い出せば、
今こうして当日朝に晴れやかな気分で
レースに臨めるということに、
感謝しなければなりません。

苦しいスケジュールで挑み
不本意な競馬を強いられたブリダーズカップ、
難しい調整過程で臨んだジャパンカップダート、
急遽出走が決まったフェブラリーステークス、
彼が負けた3つのレースを見てください。
どんな困難な状況でも、
カジノドライヴは決して嫌がることなく
諦めることなく全力を尽くして走ってくれました。

レースまであともう10時間、
反省と自信と不安と期待が入りまじります。
でも
「いつものように頑張って走って、
 何事も無く無事に厩舎に帰ってくればいいよ」
というのが本音です。

(つづく)

 

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